2017年7月9日日曜日

11楽章〜2

”ソウ...ソノ通り
オ話しヲ伝エニ来タヨ”


私が何も言っていないのに、
まるで私の心を読んだみたい。

クジラは言って、また笑った。


「やっぱりそうなの?クジラさん、これから星に還るんだ...だから、その前に私に伝言しに来てくれたんでしょ!」


嬉しくなって私はそう答えた。


”ハイ、伝言...ナガイお話デス”


「あら、じゃあ私...がんばって覚えなきゃね。」


”ダイジョウブ!オ婆サンモ、一緒ダカラ”


えっ?お婆さんも一緒に??


”ハイ。ナガイナガイ物語...今ノ、カホラチャンニハ、ムズカシイコト...オ婆サンニ伝エテオキマス。アナタガ大キクナッタ時、話シテモラエルヨウニ"


「ふーん、そうなんだ〜わかった!なら、お婆ちゃん呼んで来るね!」


家の方に走り出そうとして、何かにぶつかった。


「うわぁっ!」


ぶつかって砂浜に倒れた私に、
手を出しながら微笑んでいるのは、お婆さん。

そう、お婆さんってば、いつもいつも...今
も昔も、ふと、そこにいるんだなぁ。


『かホラ。おまえは、このクジラの精霊のことをちっとも怖がりもせんで...やっぱり言い伝え通りじゃのぉ。』


お婆さんは、しきりに一人でうん、うんとうなずいて嬉しそうな顔をして、そこに立っていた。


「うん、お婆ちゃん!私、クジラさん全然怖くないよ。だって、あの絵本のように、天に還る前に、私達にお話ししに来てくれたんだよ。」


”オ婆サン、コンニチハ。”


『はいはい。はじまりの島...じゃな。
あぁ、待っとったよ。』


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