オ話しヲ伝エニ来タヨ”
私が何も言っていないのに、
まるで私の心を読んだみたい。
クジラは言って、また笑った。
「やっぱりそうなの?クジラさん、これから星に還るんだ...だから、その前に私に伝言しに来てくれたんでしょ!」
嬉しくなって私はそう答えた。
”ハイ、伝言...ナガイお話デス”
「あら、じゃあ私...がんばって覚えなきゃね。」
”ダイジョウブ!オ婆サンモ、一緒ダカラ”
えっ?お婆さんも一緒に??
”ハイ。ナガイナガイ物語...今ノ、カホラチャンニハ、ムズカシイコト...オ婆サンニ伝エテオキマス。アナタガ大キクナッタ時、話シテモラエルヨウニ"
「ふーん、そうなんだ〜わかった!なら、お婆ちゃん呼んで来るね!」
家の方に走り出そうとして、何かにぶつかった。
「うわぁっ!」
ぶつかって砂浜に倒れた私に、
手を出しながら微笑んでいるのは、お婆さん。
そう、お婆さんってば、いつもいつも...今
も昔も、ふと、そこにいるんだなぁ。
『かホラ。おまえは、このクジラの精霊のことをちっとも怖がりもせんで...やっぱり言い伝え通りじゃのぉ。』
お婆さんは、しきりに一人でうん、うんとうなずいて嬉しそうな顔をして、そこに立っていた。
「うん、お婆ちゃん!私、クジラさん全然怖くないよ。だって、あの絵本のように、天に還る前に、私達にお話ししに来てくれたんだよ。」
”オ婆サン、コンニチハ。”
『はいはい。はじまりの島...じゃな。
あぁ、待っとったよ。』
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